淵の王(舞城王太郎)

淵の王

淵の王

久々に読んだ舞城王太郎。ホラーな展開に驚きつつも、読了。読後感はいつもの舞城王太郎の感じ。

物語は3章あり、それぞれ主人公となる人物を見守る「眼差し」のようなものが語り手になっている。そのため、「あなたは○○する」「君は××と感じる」など二人称で物語が進む。この「眼差し」は単なる客観的描写のための視点ではなく、もっとずっと主人公に対して親密で寄り添うようなものだ。この語り手の解釈については諸説あるので気になったら他のネタバレブログをご覧ください。

舞城王太郎が信じる人間の意志の持つ力の描写というのは一貫しているなあと思う。人間というものを基本的に信頼しているのだなあと。もしくはこうであってほしいという希望か。第1章の主人公が「私は光の道を歩まねばならない」と独り言を言うシーンがあるのだけれど、それはもしかしたら舞城王太郎の決意なのかもしれない。

そして最終章では「愛」について書いてある。これもいつもの舞城王太郎

久々に読んだけれど、ぐいぐい読ませるし内容も普通に面白いし、舞城王太郎全然健在じゃん!と思った。なんで話題にならないんだろうと思うのだけれど、世間では別に人間の意志の力とか愛とか、きっともっとわかりやすく書いてなくてはだめなのかもしれない。